「また値上げか……」とスーパーのレシートを見てため息をついた方も多いのではないでしょうか。2026年7月は食品だけで2,269品目が価格改定され、電気代も複数の要因で上昇傾向が続いています。一方で、政府による電気・ガス料金の補助が再開されるなど、家計への影響を和らげる動きもあります。

値上げのニュースを見て漠然と不安になるだけでは、家計は守れません。この記事では、2026年7月に起きている値上げと補助の中身をできるだけ正確に整理したうえで、「結局、何から手をつければ家計が楽になるのか」を優先順位付きで解説します。

2026年7月、何がどれだけ値上がりしたのか

食品は2,269品目が値上げ

民間の調査会社・帝国データバンクが食品メーカー各社の価格改定を集計したところ、2026年7月は2,269品目が値上げの対象になる見通しです(帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年6月、2026年5月末時点の集計・予測値)。これは6月(約1,100品目)のおよそ2倍にあたる規模です。

内訳を見ると、パンが978品目、加工食品が934品目と、この2ジャンルだけで全体の8割超を占めています。大手パンメーカーが7月1日出荷分から食パンや菓子パンなど数百品目を平均5%台で値上げするなど、毎日の食卓に直結する商品が対象になっているのが特徴です。

値上げの主な要因として企業が挙げているのは、原材料価格の高騰、物流費の上昇、包装資材のコスト増の3つです。中東情勢に伴うコスト増を理由に挙げる企業も増えており、値上げの背景は一つではなく複数の要因が重なっています。

なお、2026年は1〜11月の判明分だけで値上げ品目が1万4,902品目に達しており、統計を取り始めた2022年以降5年連続で年間1万品目超えとなる見通しです(帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2026年7月)。「値上げが一時的なもの」ではなく、ここ数年続いている構造的な流れだと捉えておいた方がよさそうです。

電気代も複数の要因で上昇傾向

電気代についても、値上がりを感じている方は多いはずです。要因として大きいのが「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」の引き上げです。2026年度の賦課金単価は1kWhあたり4.18円とされており、月400kWh程度を使う家庭では、賦課金だけで月額1,672円・年間にすると2万円を超える負担になる計算です(経済産業省「2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」の公表単価をもとにした試算)。

このほか、電力会社ごとの燃料費調整や託送料金の見直しなど、電気代を押し上げる要因は複数あり、値上げ幅は電力会社や契約プランによって差があります。「うちの電気代がいくら上がったか」は、まず直近の検針票やWeb明細で今年と去年の同じ月を見比べてみることをおすすめします。

電気・ガス補助が2026年7〜9月に再開

値上げ基調が続く一方で、政府は2026年7〜9月使用分の電気・都市ガス料金を対象にした支援策を実施しています。負担軽減の仕組みは以下の通りです(経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」)。

対象月電気の値引き単価都市ガスの値引き単価
2026年7月1kWhあたり3.5円1㎥あたり14.0円
2026年8月1kWhあたり4.5円1㎥あたり18.0円
2026年9月1kWhあたり3.5円1㎥あたり14.0円

月260kWh程度を使う標準的な家庭を例にすると、電気代は7月・9月がそれぞれ月910円程度、8月が月1,170円程度の値引きになる計算です。都市ガスを月30㎥程度使う家庭では、7月・9月が月420円程度、8月が月540円程度の値引きが見込まれます。電気とガスを合わせると、月あたりおおむね1,300円〜1,700円程度、3か月合計では標準的な家庭で5,000円前後の負担軽減になる試算です(上記の公式値引き単価をもとに、一般的なモデル世帯の使用量を想定して編集部で試算。実際の軽減額は使用量によって変わります。詳細な試算は経済産業省 資源エネルギー庁「電気・ガス料金支援」特設サイトでも確認できます)。

この補助は申請不要で、契約している電力会社・ガス会社を通じて自動的に料金から差し引かれる仕組みになっています。ただし、家庭ごとの使用量によって軽減額は変わりますし、10月以降の延長が決まっているわけではない点には注意が必要です。「補助があるから安心」と考えるのではなく、補助が終了した後も家計が耐えられる体質を作っておくことが重要です。

まず何から手をつける?固定費見直しの優先順位

値上げのニュースを見るたびに食費を切り詰めようとする方も多いのですが、日々の努力が必要な変動費よりも、一度見直せば効果が続く「固定費」から着手する方が家計改善の効率は高くなります。以下は、一般的に効果が出やすく、かつ手間が少ない順に並べた見直し候補です。

優先度項目見直しの手間効果の続きやすさ
1保険(生命保険・自動車保険など)中(一度の見直しで完了)継続的に効果あり
2スマホ・通信費(格安SIMへの乗り換え等)中(手続きに数十分〜)継続的に効果あり
3サブスクリプション(動画・音楽・アプリ)小(解約するだけ)継続的に効果あり
4電力会社・料金プランの見直し小〜中(比較・申し込み)継続的に効果あり
5変動費(食費・日用品)大(日々の努力が必要)効果が不安定

固定費は「一度手を打てば、翌月以降も自動的に節約が続く」のが最大のメリットです。逆に食費などの変動費は、見直しても気の緩みですぐに元に戻りやすい性質があります。値上げラッシュの今こそ、上位にある固定費から着手するのが合理的です。

ステップ1: 保険を見直す

生命保険や医療保険、自動車保険は、加入した時期のまま何年も放置されているケースが少なくありません。ライフステージ(結婚・出産・住宅購入など)が変わっているのに保障内容が当時のままだと、必要以上の保険料を払い続けている可能性があります。まずは加入中の保険の保障内容と保険料を一覧にまとめ、今の家族構成やニーズに合っているか確認するところから始めましょう。

実際、私も今年に入って生命保険の保障内容を見直したところ、それだけで月々の保険料を1万円ほど下げることができました。加入から時間が経っている保険ほど、見直しによる効果は大きくなりやすい傾向があります。

ステップ2: 通信費を見直す

大手キャリアを使い続けている場合、格安SIM(MVNO)への乗り換えで月々の負担を大きく減らせる可能性があります。データ通信量が少ない方ほど効果を実感しやすい傾向です。乗り換えには手続きの手間がかかりますが、一度設定すれば以降は自動的に節約効果が続きます。

私自身も大手キャリアから格安SIMに乗り換え、月々の支払いを5,000円ほど下げることができました。あわせて、自宅のインターネット回線もソフトバンクのホームルーターから光回線(ピカラ)に切り替えたところ、こちらも月5,000円ほどの節約になっています。スマホ回線だけでなく自宅の通信環境もセットで見直すと、通信費全体の負担をまとめて圧縮できるケースは意外と多いものです。

ステップ3: サブスクを棚卸しする

動画配信・音楽配信・クラウドストレージなど、契約したまま使っていないサービスがないか、クレジットカードの明細を1年分さかのぼって確認してみましょう。「無料期間だけのつもりが自動更新されていた」というケースは珍しくありません。複数の同じジャンルのサービスに重複加入している場合は、1つに絞るだけでも効果があります。

ステップ4: 電力会社・料金プランを比較する

電力自由化により、地域の大手電力会社以外にも選択肢があります。ただし、乗り換え時には解約金の有無や、契約期間の縛りを事前に確認しておくことが大切です。今回の補助策は契約している電力会社を通じて反映されるため、乗り換えを検討する際は補助の対象事業者かどうかも合わせて確認しましょう。

固定費防衛チェックリスト

値上げラッシュの中で家計を守るために、以下の項目を月内に一つずつ確認してみてください。

  • 直近の電気代・ガス代の検針票を、去年の同じ月と比較した
  • 契約中の保険の保障内容と保険料を一覧にした
  • スマホの契約プランとデータ使用量を確認した
  • 契約中のサブスクをすべて洗い出した
  • 使っていないサブスクを解約した
  • 電気・ガスの補助が自分の契約先に適用されているか確認した
  • 食品以外の固定費(保険・通信)の見直しに着手する日を決めた

まとめ

2026年7月は食品2,269品目の値上げが実施され、電気代についても再エネ賦課金の引き上げなど複数の要因で上昇傾向が続いています。一方で、7〜9月には電気・ガス料金の補助が再開され、標準的な家庭で3か月合計5,000円前後の負担軽減が見込まれています。

補助はあくまで一時的な措置であり、値上げの流れそのものが止まったわけではありません。だからこそ、日々の節約努力に頼るだけでなく、保険・通信費・サブスクといった「一度見直せば効果が続く」固定費から手をつけることが、値上げラッシュを乗り切るための現実的な近道になります。

実際、私も保険の見直しと通信費(スマホ・自宅回線)の見直しだけで、合計月2万円ほどの固定費を圧縮できました。多少の手続きの手間はかかりましたが、それに見合うだけの効果は十分にあったと感じています。まずは今月、チェックリストの項目を1つでも実行することから始めてみてください。


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